皮膚科

皮膚に病的変化が現われる疾患は非常に多岐に及びます。湿疹や吹き出物などは、一見すると同じように思われるかもしれませんが、これらの発症原因は様々なのです。そのため、外的因子によるもの、内的因子によるもの、加齢によるものなど、原因を見極めながら治療を進めていく必要があります。
特に乾癬外来で名医の樽谷先生の診療も行っています。

皮膚科疾患の中には、簡単に治るものもありますが、特効薬が無いため長期間にわたって根気よく対応していく必要のある疾患も少なくありません。しかし、決定的な治療法はなくても、適切な外用療法やスキンケアなどによって肌の状態をほどほどに保ち、痛みなどを抑えていくことは十分に可能です。

当院では、患者さんの症状を見極め、皮膚科疾患に幅広く対応しておりますので、皮膚の異常が見られたときはお早めにご相談ください。

主な皮膚疾患

  • 虫さされ
  • 水虫
  • 湿疹
  • 乾癬(かんせん)
  • いぼ
  • タコ・ウオノメ
  • かぶれ
  • やけど
  • ニキビ
  • おでき
  • 脂漏性角化症
  • 巻き爪・陥入爪
  • 帯状疱疹
  • 円形脱毛症
  • じんましん
  • 紫外線治療
  • その他の脱毛
など

虫さされ

皮膚に残っている刺された跡などを見ると、何の虫に刺されたのか分かることがあります。行った場所、刺された時間、季節、痒みなどの症状を見極めて原因虫を特定し、その虫の毒素などに効果のある薬を投与します。細菌感染を起こしているときは、抗生剤を併用し、治療効果を高めます。

水虫

白癬菌という真菌の一種が足の皮膚に寄生し、増殖することによって起こる病気です。罹患すると、足の皮がめくれてジュクジュクしたり、痒みが出たりします。全身のいたるところに寄生するのですが、特に高温多湿の環境を好みます。足は靴下や靴によって蒸れやすいので、細菌が繁殖しやすいのです。実際、白癬菌による疾患で最も多いのは水虫です。

白癬菌が皮膚の角層表面にとどまっている段階ならば、抗真菌作用のある塗り薬を塗布することで快方に向かいます。しかし、角層が厚くなっている角質増殖型や、爪白癬の場合は、薬の成分が患部に届きにくいため、飲み薬を選択します。なお、治療に際しては、見た目が良くなった段階でも薬を塗るのを止めず、その後も担当医の指示に基づいて1~3か月は塗り続けることが大切です。皮膚の表面では水虫菌が死んでいるように見えても、皮膚の奥で生き残っていることがありますので、しっかりと治癒させるようにして下さい。

湿疹

湿疹は様々な意味で用いられていますが、一般的には皮膚に痒みを伴う炎症の見られる状態です。皮膚が赤くなってブツブツが出来たり、小さな水疱が現われたり、痒みに悩まされたりします。湿疹が発生する原因は多岐にわたっていますが、化粧品アレルギー、動植物アレルギー、金属アレルギー、食物アレルギー、ダニやハウスダスト、薬疹、ウイルス性などがよく見られます。

湿疹は痒みを伴うことが多いため、ついつい掻いてしまいがちですが、そうすると患部に細菌などが侵入し、症状が悪化してしまいます。そのような事態を起こさないよう、お早めに皮膚科を受診するようにして下さい。

乾癬

乾癬は、皮膚の角質層が異常に増殖し、カサカサとした赤い皮疹が見られる疾患です。顔や頭などの露出部分によく出来るため、皮膚の病変が人目につきやすく、精神的なストレスを感じることが多いと言われています。但し、乾癬の方と接触したとしても、決してうつることはありません。乾癬が悪化すると、リウマチに似た関節の変形や痛みを伴うこともあるので、早めに治療を受けることが大切です。通常は外用薬、内用薬、さらには紫外線療法などを組み合わせながら、患者さんの症状に応じて治療を進めていきます。
当院では乾癬外来で名医の樽谷先生の診療も行っています。

いぼ

手の指などに直径3㎜~1㎝くらいの白色または薄茶色の隆起物が出来る疾患です。原因となるは、ヒトパピローマウイルスです。このウイルスが皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し、皮膚の奥にある細胞で増殖すると、いぼが出来ます。そのほかにも皮膚の老化が引き金となって発症するいぼもあります。これを老人性疣贅(脂漏性角化症)と言います。この場合、紫外線が当たりやすい部位(頭部、顔面、頸部 等)に起きることが多く、中年世代になれば大半の方々に見受けられるようになります。

主な症状ですが、最初はシミのような見た目ですが、やがて表面はザラザラしていきます。大きさは数㎝程度(5㎜~2㎝程度)で、色は茶色、褐色、皮膚の色と遜色ないなど様々です。平たいものもあれば、隆起するものもあります。

なお見た目だけでは、皮膚がんと見分けがつきにくいことがあります。そのため必要な場合は検査(ダーモスコピー、皮膚生検 等)をすることもあります。ちなみにいぼが急に大きくなった、いぼに出血がみられる、全身にかゆみを伴う皮疹が出てきたという場合は、皮膚がんや何らかの病気に罹患していることが疑われますので、速やかにご受診ください。

なお老人性疣贅に関しては、美容面から切除による治療を望まれるケースが多いです。この場合の治療法としては、尋常性疣贅と同様の液体窒素による凍結療法のほか、炭酸ガスレーザーによる切除を行うこともあります。

タコ・ウオノメ

ウオノメは、足の裏などの限られた部位に荷重が集中することにより、角質が増殖してくる疾患のひとつです。合わない靴を長時間履いていると、円錐形に角質が肥厚して皮膚の奥に刺さっている形となり、強い痛みが生じます。タコも、ウオノメと同じように角質層が厚くなりますが、通常は痛みを感じません。

治療にあたっては、どちらも肥厚した角質を削ります。ご自身で行ってしまう方も多いようですが、細菌感染などを引き起こして皮膚の状態が悪化することもありますので、皮膚科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。また、ウオノメなどが再びできないよう、足形に合った靴を履いたり、分圧のためにインソールを入れるなどの対策をとることも大切です。

かぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)

皮膚に直接触れたものが原因となり、炎症や湿疹などが出来る疾患です。刺激性のかぶれと、アレルギー性の2種類があり、前者は原因物質と接触した部位に限局して出現します。痒みもそれほど強くありません。これに対し、アレルギー性のかぶれは、痒みが強く、接触部位以外にも皮膚の炎症が見られます。

かぶれが見られたときは、まず問診を行なったうえでパッチテストを行います。原因と思われる物質を皮膚に貼り、反応を確かめるのです。この検査によって原因となっている物質が明らかになったならば、その物質が含まれるものに接しないようにします。例えばゴムが原因ならば、ゴム製品との接触を止めます。短期的にステロイド外用薬を塗布したり、痒みを抑えるために抗ヒスタミン薬などを使用することもあります。

やけど

やけどは、熱い物体などが皮膚に接触することにより、皮膚が損傷する疾患です。積極的な治療を行なわなくても済む軽度なものから、命に関わる重度のものまで様々な程度があり、その状態によって治療法も変わってきます。通常は、やけどを負った部位を冷やすことが大切です。流水やアイスノンによって皮膚の温度を下げ、障害の程度が進行しないようにします。そして、出来るだけ早く皮膚科を受診して下さい。特にお子様の場合、大人よりも皮膚が弱く、見た目以上に皮膚の内部が損傷していることがあるので、早めの治療が欠かせません。浅いやけどの場合は、軟膏を塗るだけで大丈夫ですが、重症の場合は専門的な治療が必要であり、手術などを行うこともあります。

ニキビ

ニキビは、毛穴に皮脂が詰まってしまう事により、穴の中でアクネ菌が増殖して赤いブツブツなどが出来てしまう病気です。思春期にはホルモンの影響によって皮脂が分泌過剰となり、沢山のニキビが出来ることがよくあります。早期の段階で治療しないと、ニキビが治まった後に跡が残ることもあるので注意しましょう。治療にあたっては、毛穴の詰まりを解消したり、皮脂の分泌を抑えたり、炎症を抑えるためのお薬などを使用します。自費診療ですが、ピーリングによって毛穴を開通させる治療もよく行われます。

おでき

おできは、日常的によく耳にするとおり、顔などの表面に円錐形の赤いできものが見られる疾患です。痛みを伴うことが多く、特に上から指で押したりすると、痛みが強まったり、熱感を覚えたりします。以前は、症状が悪化して静脈炎や髄膜炎を続発することもありましたが、現在は抗生物質による治療が普及していますので、重症化するケースは少なくなりました。なお、治療にあたっては、抗生物質の含まれた軟膏を患部に貼り、水道水で冷湿布します。これによって早期に治ります。もっとも、円錐の頂点が破れて膿が流れ出し、自然に開放へと向かうケースもよく見られます。

粉瘤は→こちら

脂漏性角化症

紫外線や皮膚の老化などに伴い、皮膚の表面に黒色や茶褐色の突起物が出来る疾患です。数ミリ程度の小さなものから、数センチもあるものまで、様々な大きさになります。当初はシミに混じって出来ることも多く、やがて皮膚が盛り上がり、脂漏性角化症となるケースも少なくありません。通常は良性なのですが、見た目が悪性腫瘍と似ていることもありますので、必要に応じて精密検査を行います。

治療に関しては、痛みや痒みがあったり、外見上の問題が生じている場合ではなければ、特に積極的な処置を行いません。しかし、症状によっては、凍結療法やレーザー療法などを繰り返し行うことにより、イボを取り除きます。局所麻酔下での手術によって除去することもあります。

巻き爪・陥入爪

陥入爪は、文字通り指の爪の縁が皮膚に食い込んでしまっている状態です。これに伴い、爪の周囲の組織が傷つき、赤く腫れあがったり、化膿したりします。巻き爪などが皮膚の神経を刺激するため、歩行時に強い痛みが出ることも少なくありません。足の親指に出現するケースが多いのですが、その他の指でも陥入爪になることがあります。

主な原因は、靴のサイズの不適合です。小さ過ぎる靴や大き過ぎる靴を履くことにより、親指の爪の辺りが締め付けられ、爪の端が巻いていってしまうのです。また、正しくない歩き方を続けた場合も、母趾に無理な力がかかり、陥入爪のリスクが高まります。この他、深爪をしてしまうと、爪の先端の両サイドが皮膚に食い込みやすくなりますので、注意が必要です。

帯状疱疹

水痘(水ぼうそう)に罹患してから暫くすると、ウイルスに対する抗体が体内に出来て病気が治ります。しかし、その際のウイルスは脊髄から伸びている神経節に潜んで生き残るのです。通常は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているのですが、加齢やストレス、疲労などによって抵抗力が落ちると、隠れていたウイルスが再び活性化します。その結果、皮膚に帯状の発疹が出てきて、痛みなどを伴う疾患が帯状疱疹です。治療に際しては、主に抗ウイルス薬の内服治療を行ないますが、痛みが強い場合は鎮痛薬も併用します。

円形脱毛症

円形脱毛症は、毛包に障害が起こることにより、髪の毛が脱落してしまう状態です。コインのように円形状に毛が抜けるタイプが基本ですが、この他にも、生え際が帯状に抜けたり、頭部の全域の毛が抜けることもあります。原因についてはよく分かっていませんが、自己免疫機序の問題により、間違って自分の毛の細胞を攻撃してしまうからだと考えられています。

通常、脱毛の範囲が少ない場合は放置していても自然に治ります。しかし、広く抜けている場合は、医療機関で治療を行なった方が良いでしょう。幾つかの方法がありますが、副腎皮質ステロイドやミノキシジルなどの外用薬、局所免疫療法、紫外線療法、抗アレルギー薬の全身投与などを検討します。

じんましん

じんましんは、ヒスタミンなどの物質が出てきて皮膚にミミズバレの症状を引き起こす疾患です。かゆみを伴うことが多いため、皮膚を引っ掻いてしまう方もいますが、そうすると細菌が皮膚の中に入り込み、余計に症状が悪化しますので、注意しましょう。主な原因としては、食品によるアレルギーのこともありますが、それよりも疲れや寝不足によって体の抵抗力が低下したときに起こりやすいと言われています。治療に関しては、薬物療法が中心となりますが、症状によって沢山の種類があります。薬の効果には個体差がありますので、どの薬が効果的なのか見極めることが大切です。

なお、じんましんには、アレルギー性のものもあります。食べ物や食品添加物、動植物などが原因となり、皮膚が赤くはれたり、痒みなどの症状が出現します。具体的には、蕎麦やエビ、カニ、卵、小麦、乳製品、落花生などがアレルゲンとなります。これらの物質に反応すると、様々な症状が出現するのですが、このひとつがじんましんなのです。また、サバやマグロなどの青魚、豚肉、タケノコ、香辛料なども一因となります。さらに、食品中の防腐剤や人工色素などが反応することもありますので、購入した食品の表示内容を確認し、注意を払うことも大切でしょう。

紫外線治療

紫外線治療は、皮膚の炎症や痒みを抑える目的で行われます。幾つかの種類があり、以前は長波長紫外線を用いたPUVA療法がよく行われていました。しかし、最近はナローバンドUVB療法が主流です。当院では、広い範囲に照射するときはナローバンドUVB療法、狭い範囲にはエキシマライトを使用するなど、それぞれの症例に合わせて治療効果を高めています。副作用としては、皮膚のほてり、発赤が起こることもあるので、患者さんの肌の状態などをしっかりと見極めたうえで行います。

詳しくは→こちら

その他の脱毛

男性型脱毛症と同じような症状が女性にも見られることがあります。幾つかの要因が指摘されていますが、精神的ストレスやホルモンバランスの変化などが作用しているケースが多く見られます。その他、貧血、甲状腺機能の異常なども一因となります。治療にあたっては、男性型脱毛症とは異なった要素も視野に入れ、担当医が総合的に判断いたします。

小児皮膚科

小児皮膚科では、主に新生児から中学生くらいまでのお子様を対象として、皮膚に生じた様々な疾患の治療やケアを行います。この時期の皮膚は、成人と比較して薄くて繊細であり、皮膚のバリア機能も未熟です。そのため、角質の内側の水分が蒸発しやすく、細菌や有害物質が皮膚の奥にまで侵入し、頻繁に肌疾患が出現することも少なくありません。

当院では、こうした小児期の皮膚疾患について、お子様一人ひとりの症状を適切に見極め、丁寧な治療を心がけております。また、非常に繊細なお子様の皮膚が細菌などに感染するリスクを減らすため、必要となる肌ケアの方法などもアドバイスしておりますので、お気軽にご相談ください。

小児によく見られる皮膚疾患

  • とびひ
  • みずいぼ
  • アトピー性皮膚炎
など

とびひ

ブドウ球菌や溶連菌が皮膚の中に入り込み、繁殖して毒素を作り出すことによって皮膚がただれてしまう病気です。早期の段階で皮膚科を受診し、抗生物質などの塗り薬を使うと治りやすいのですが、放置すると悪化し、より強い薬が必要になります。また、かゆみを伴うため、患部を引っ掻いてしまうことがありますが、そうすると、火の粉が飛び散るように増殖するので注意しましょう。

みずいぼ

正式には伝染性軟属腫と呼ばれる皮膚疾患であり、直径1~5㎜程度の丸くて柔らかい良性のいぼが出来ます。幼児から小学校低学年の児童に発症することが多く、特にアトピー性皮膚炎の方によく見られます。放置していても、いずれは自分の免疫が強くなり、快方に向かいます。しかし、肌が弱い方、ドライスキンの方、湿疹が起こりやすい方の場合、みずいぼが増殖し、なかなか改善しないこともあります。

症状に関しては、小さないぼが出来ること以外に、特段の痛みや体調変化などが見られることは殆どありません。但し、いぼそのものに痒みは感じないケースが大半ですが、気になって引っかいてしまうお子様も多く、こうした行為によって水いぼが次々と噴き出てくるケースもよく見られます。プールでうつることを心配される保護者の方も多いようですが、プールの水の中では皮膚の表面を常に塩素殺菌しているようなものですし、過度に心配する必要はありません。但し、更衣室やプールサイドなどでは、患部に直接触れたり、タオルなどを共有することは控えた方がよいでしょう。

治療に関しては、水疱の下にあるウイルスのかたまりをピンセットで取り除きます。そのままでは強い痛みが起こるため、表面麻酔をかけてから行います。水いぼが広範囲に及んでいるケースでは、免疫治療を行うこともあります。

アトピー性皮膚炎

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